皮膚は体の表面に近い側から体の内部に向かって
・表皮(ひょうひ)
・真皮(しんぴ)
・皮下組織(ひかそしき)
という3つのエリアに分けられます。
シミの原因として有名なものは紫外線です。とくに肝斑に関しては、
・ストレス
・女性ホルモン
・過剰なマッサージ
によって発症または悪化するとされています。
表皮の細胞が外部刺激を受けると、表皮の奥の方に存在する「シミ製造工場(メラノサイト)」を活性化させる物質が作られます。最終的に、その活性化物質は「シミ製造工場(メラノサイト)」に伝えられます。
本来、メラニンは表皮の細胞に受け渡されて「紫外線から細胞を守る」ために働く良い物質です。しかし、何らかの原因によってメラニンが作られすぎると、メラニンは行き場を失います。行き場を失ったメラニンは、仕方なく「お肌に蓄積」します。こうして色素がお肌に溜まっていき最終的に「シミ」として現れるのです。
皮膚の構造をよく理解すれば、コラーゲンを直接食べたり飲んだりしても、それがそのままコラーゲンとしてお肌に影響を与えるわけではないことをご理解いただけます。美肌をゲットするために皮膚の構造を丁寧に解説いたします。
オジスキンクリニック浦和院 院長
目次
- 皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層構造で作られている
- 表皮にある「シミ製造工場」で作られすぎたメラニンがシミの原因
- コラーゲンやヒアルロン酸を生み出す細胞は真皮に存在する
- コラーゲンを直接摂取してもそのままコラーゲンとしてお肌に影響を与えるわけではない
こんにちは、オジスキンクリニックの院長吉原糸美です。
美肌づくりの基本「さわらない」「こすらない」「太陽を防ぐ」をモットーに、今よりも良い肌になるためのプラスアルファの診療を行なっています!
私自身、ニキビに悩まされたり毛穴に悩まされたり、シミやくすみに悩まされたりした日々もありました。
美容医療に助けられた今までの経験を踏まえ、このブログでお肌やエイジングについての情報を発信していきます。
一緒に美肌を目指していきましょう!
皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層構造で
作られている
皮膚は体の表面に近い側から体の内部に向かって
・表皮(ひょうひ)
・真皮(しんぴ)
・皮下組織(ひかそしき)
という3つのエリアに分けられます(*1,*2)。
皮膚の構造:引用元:中外製薬 皮膚
表皮は私たちの体を守っている
皮膚の一番外側にある部分が表皮です。手のひら・足の裏以外の場所では表皮の厚さは0.2mm以下とされています。表皮はさらに4つの部分に分けられます:
・角化層:表皮の中でも一番外側にあります。ここでは古くなった細胞がはがれ落ちて新しい細胞と入れ替わります。いわゆる「垢」です。角化層の細胞は実はも う死んでいる細胞たちなのです。角化層の周りにはセラミド、コレステロールなどが存在して、細胞同士の接着や保湿に関わっています。
・顆粒層:平らな形をした細胞を含んでいます。細胞の中には顆粒が含まれています。
・有棘層:特殊な構造で細胞同士がつながっているため、顕微鏡で見ると「トゲトゲ」が細胞の間に生えているように見えます。このため「有棘」層という名前がついています。
・基底層:表皮の中では一番体の内側にある部分です。ここの細胞は分裂したり増殖したりすることができ、新しい表皮の細胞を常に供給しています。
表皮の細胞どうしを接着させる
「のり」の役割を
果たすのが
デスモソーム
表皮細胞どうしは「デスモソーム」と呼ばれる特殊な構造でお互いにくっついています(*3)。表皮の細胞が少しずつ剥がれてくる(垢になる)のは、細胞どうしをくっつけている「のり」が少しずつ分解されたり、細胞の周りにある脂質が分解されたりすることで「細胞どうしの接着力が弱くなる」ためです。
表皮にある「シミ製造工場」で
作られすぎた
メラニンがシミの原因
シミの原因として有名なものは紫外線です。とくに肝斑に関しては、
・ストレス
・女性ホルモン
・過剰なマッサージ
によって発症または悪化するとされています。
表皮の細胞がこのような外部刺激を受けると、表皮の奥の方に存在する「シミ製造工場(メラノサイト)」を活性化させる物質を作ります。その活性化物質はやがて「シミ製造工場(メラノサイト)」に伝えられます。
その物質を受けとった工場(メラノサイト)側では、チロシンというアミノ酸を原料にして
チロシン-> ドーパ->ドーパキノン->メラニン
という順番でメラニンが作られます(*4)。
本来であれば、メラニンは表皮の細胞に受け渡されて「紫外線から細胞を守る」ために働く良い物質です。シミの原因になるメラニンは、本当は私たちにとって必要不可欠な大切な物質なのです。
しかし、何らかの原因によってメラニンが作られすぎると、メラニンは行き場を失ってしまいます。行き場を失ったメラニンは、仕方なく「お肌に蓄積」します。このようにして色素がお肌に溜まっていき、最終的に「シミ」として現れるのです。
コラーゲンやヒアルロン酸を
生み出す細胞は
真皮に存在する
真皮は表皮の内側に存在する部分です。
真皮は皮膚の大部分を占めており「お肌の本体」とも言える部分です。真皮は表皮を裏打ちしており、
・血管
・リンパ管
・神経
なども真皮に存在します。真皮の大部分を占めているのは「コラーゲン」です。さらに皮膚の弾力を保つ成分である「エラスチン」という物質も真皮に存在します。
そしてそれらの間を「ヒアルロン酸」などの物質が満たしています。これらの物質はそれぞれ次のような役割を持っています:
コラーゲン:、肌のハリや弾力をキープする
エラスチン:皮膚に弾力をもたらす
ヒアルロン酸:お肌の保湿・うるおいキープに役立つ
これらの物質を作っている細胞が「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」です。
真皮には他にも
・マクロファージ(異物を食べたり免疫反応に関与したりする)
・マスト細胞(肥満細胞ともいう。ヒスタミンを出してアレルギー反応に関わる)
といった細胞が存在しています。
コラーゲンを直接摂取してもそのままコラーゲンとして
お肌に影響を与えるわけではない
コラーゲンを直接食べたり飲んだりしても、それがそのままコラーゲンとしてお肌に影響を与えるわけではありません。コラーゲンはタンパク質の一つですから、他の食べ物と同様に、体の中で分解された後に吸収されます。コラーゲンは消化管の中で「アミノ酸」に分解されて私たちの体へ吸収されます。
コラーゲンをお肌の上から直接塗ったとしても得られる効果は低いでしょう。
コラーゲンは非常に大きな物質です。コラーゲンが大きすぎて、お肌の内側まで直接浸透するとは考えにくいと言わざるを得ません。
参考文献
*1
Fore J. A review of skin and the effects of aging on skin structure and function. Ostomy Wound Manage. 2006 Sep;52(9):24-35; quiz 36-7. PMID: 16980727.
*2
Arda O, Göksügür N, Tüzün Y. Basic histological structure and functions of facial skin. Clin Dermatol. 2014 Jan-Feb;32(1):3-13. doi: 10.1016/j.clindermatol.2013.05.021. PMID: 24314373.
*3
Jensen JM, Proksch E. The skin’s barrier. G Ital Dermatol Venereol. 2009 Dec;144(6):689-700. PMID: 19907407.
*4
Riley PA. Melanin. Int J Biochem Cell Biol. 1997 Nov;29(11):1235-9. doi: 10.1016/s1357-2725(97)00013-7. PMID: 9451820.