厄介なシミを消すためには「飲み薬」「塗り薬」「レーザー治療」など様々な対処法があります。
シミを放置するとイボや癌につながる恐れもあり、患者様のお肌に適した治療法を医師と相談することが大切です。
お肌のシミに悩まされる前に早期の受診をおすすめいたします。
執筆者:吉原 糸美
オジスキンクリニック浦和院 院長
目次
- お肌への日々のダメージの蓄積がシミの原因
- しみを防ぐためには日々の努力が大切
- 手強いシミは病院で治しましょう
- しみを消すための治療法は
内服薬・塗り薬・レーザーの3つ - 手強いシミを消すにはピコレーザーがおすすめ
- ピコレーザーによるシミ治療の流れ
- レーザー治療に関してよくある質問
こんにちは、オジスキンクリニックの院長の吉原糸美です。
スキンケアは数々の経験を経てゼオスキンに至ります。
レーザー治療や注入治療を一通り経験済です。
子育ても今経験中ですが毎日悪戦苦闘しております。
私自身の経験も踏まえて、患者様のお役に立つ医療情報を女医目線・ママ目線でわかりやすく、正確にお伝えできればと思います!
お肌への日々のダメージの蓄積が
シミの原因
そもそもシミって何?
女性にとってシミは悩ましい肌トラブルの一つですね。
でも、そもそも「シミ」ってなんでしょう?答えを先に言ってしまうと、シミとは、「お肌で作られた色素がお肌に溜まり地肌よりも濃く見える部分」のことです。
この「お肌で作られた色素」をメラニン色素と呼びます。
メラニン色素は
・お肌
・髪の毛
・瞳
の色を作る色素です。
メラニン色素は単にメラニンと呼ばれることもあります。
メラニンは実は体を守ろうと頑張っている
シミの原因とも言えるメラニンは、紫外線から私たちの体を守る働きを実は持っています。
メラニンはホントはいいやつなんです。メラニンの本当の働きを知るために、まずは皮膚の構造を知りましょう。
私たちの皮膚は、
・外側(表皮といいます)
・内側(真皮といいます)
からできています。
私たちの大敵「シミ」に関わっているのは表皮です。
私たちの皮膚表面に日光(紫外線)が当たると、表皮でメラニンが作られます。作られたメラニンは紫外線から私たちの体を守る働きを持っています。
正常な場合、お肌のサイクル(約14~28日)に合わせて、作られたメラニンも古い肌(角質)とともに剥がれ落ちていきます。お肌からアカが剥がれていく様子をイメージいただくと良いかと思います。
お肌の新陳代謝が悪くなるとシミができる
紫外線から私たちの体を守ろうと頑張っているメラニン、いいやつじゃないですか。
では一体どうして、そのメラニンがシミの原因になるのでしょう?
その原因は、私たちが毎日浴びている紫外線にあります。
長い期間私たちが紫外線を浴び続けることで、お肌が老化してしまうのです。
その結果、本来捨てられるはずのメラニンが適切に廃棄されず、私たちの皮膚にそのまま居座ってしまいます。
これが色素沈着(シミ)になるのです。また、お肌の新陳代謝を悪くするのは紫外線だけではありません。
例えば、
・タバコ
・ストレス
・不規則な生活
によっても肌の新陳代謝が悪くなることが知られています。
シミを放置すると怖い病気になることも
お肌のシミを侮ってはいけません。
お肌のシミをほったらかしておくとイボ状に出っぱることがあります。これは老人性のイボ(脂漏性角化症)です。
シミだけでも嫌なのにイボになったらたまったものではありませんよね。
シミをさらに放置して紫外線を浴び続けると皮膚の老化がさらに進みます。
それがひどくなると、皮膚がカサカサした状態(日光角化症といいます)になり、皮膚癌の原因ともなる恐れがあります。
繰り返しになりますが、お肌のシミを決して侮ってはいけません。
しみを防ぐためには日々の
努力が大切
メカニズムを知るとシミって手強そうですよね。
確かにシミは手強いですが、自分でできるケアを行うことがシミ治療の第一歩です。
私と一緒に毎日のスキンケアを見直して、大切なお肌へのダメージを防ぐことから始めましょう。
ここでは日々のスキンケアの中でも、
・保湿
・洗顔
・紫外線対策
に分けてご説明いたします。
保湿
お肌の保湿はなんと言っても大切です。
保湿を行わないと、お肌のバリアが壊れやすくなり外からの刺激(紫外線や摩擦)でダメージを受けやすくなります。
(1)自分の肌にあった適度な保湿をする
(2)化粧水だけではなく、乳液も使用して
水分と油分を補給する
(3)肌へ塗布するときには擦らず押し当てる
ことをお勧めいたします。ただし、最近の美容皮膚科学会では「保湿のしすぎもよくない」という指摘も行われています。何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですね。
具体的な保湿方法についても、クリニックにてご相談対応致しております。
気軽にクリニックへお越しください。
洗顔
お肌のために洗顔をすることは確かに大切です。
しかし、患者様のお話を伺っていると、お肌を擦りすぎている患者様が少なくありません。
お肌をこすりすぎると、逆にお肌のバリアが壊れやすくなり外からの刺激(紫外線や摩擦)でダメージを受けやすくなります。
洗顔の時には、
(1)洗浄力がマイルドな洗顔料を使うこと
(2)せっけんや洗顔料を十分泡立てて泡の部分でお肌を洗うこと
お一人お一人肌質が異なるため、適切な洗顔法も変わってくるのです。
当院では、洗顔方法やおすすめの洗顔料についてもアドバイスいたしております。
お気軽にカウンセリングにてご相談ください。
紫外線対策
先ほどご説明した通り、紫外線はシミの原因です。
・日焼け止め
・帽子
・日傘
といったアイテムを「適切」に使って紫外線対策を必ず行いましょう。
「適切に」と述べたことには理由があります。多くの方は日焼け止めを「適切に使えていない」からです。
帽子や日傘を使って紫外線を防ぐ事は分かりやすいですね。ところが、日焼け止めに関しては「朝出かける前に一度塗っておしまい」という方も少なくないのではないでしょうか??
実は研究論文によると
・例えば顔に日焼け止めを塗る場合は、クリーム状の日焼け止めであればパール粒2つ分の量、駅退場の日焼け止めの場合は1円玉1個分の量が必要である。
・SPFの値に関係なく、少なくとも2時間おきに日焼け止めを塗り直す必要があるとされているのです(*1,*2)。
紫外線や汗によって日焼け止めの成分は洗い流されたり分解されたりします。このため、日焼け止めは2時間程度しか持続しないと考えられています。
手強いシミは病院で治しましょう
今までしみに対するセルフケアについてご説明してきました。
しかし、セルフケアでできることはあくまで「守り」の治療であり、すでにできたシミに対する「攻め」の治療が欲しいところですよね。
・シミやそばかすが気になるお客様
・セルフケアを一生懸命頑張っているけれどシミがなかなか消えないお客様
努力しているのになかなかうまくいかないというお客様にこそに、シミ・そばかすに適した治療を提供することでお役に立てればと思います。
シミ、と言ってもいくつかの種類があるため、症状や状態によって適切な治療法が異なります。
ご自身で安易に判断せず、お気軽にクリニックまでご相談ください。
できてしまったシミの治療だけでなく、シミを予防したいお客様のご相談も大歓迎です。
しみを消すための治療法は主に3つ
(1)お薬を飲む
(2)塗り薬を使う
(3)レーザーで治療する
(1)お薬を飲む
多くのクリニックで用いられているシミ治療法の一つに、内服薬を使った治療があります。
内服治療単独で用いられることもありますし、レーザー治療と組み合わせて内服治療を行うこともあります。
美容皮膚科において処方されることが多い内服薬について簡単にご紹介します。
・トラネキサム酸
シミの原因となるメラニンを作っている細胞の働きを抑える効果があります。これにより、メラニンを作りにくくすることでシミ治療に効果を発揮します。
さらに、ニキビの後にできたシミに対しても、シミを薄くする美白効果が期待されています。
・ハイチオール
ハイチオールもメラニンを抑制して、しみに対する美白効果が期待されるお薬です。
シミ治療以外にも、蕁麻疹・ニキビに対する治療にもハイチオールは用いられることがあります。
・ユベラ
ユベラは幅広い年代の方にご利用いただけるお薬です。
ユベラはお肌の代謝を改善させたり、シミを薄くしたりと言った効果を持つお薬です。ユベラに含まれるビタミンEが効果を発揮します。
・シナール
シナールは元々妊婦さん・授乳中のお母さんなどがビタミンCを補給するために作られたお薬です。
ビタミンCを含んでいるシナールはシミを抑える作用があります。
もともと妊婦さんや授乳中の方のために作られたお薬ですから、安全性が高いことがポイントです。
(2)塗り薬を使う
ビタミンAとハイドロキノンによる塗り薬で肌を生まれ変わらせる治療です。
ご自宅でのスキンケアで美肌・美白を叶えたい方へおすすめの治療法と言えます。
(3)レーザーで治療する
当院で用いているピコレーザーは、
・しみ
・くすみ
・肝斑に効果のある医療機器
従来のレーザーと比べて皮膚へのダメージが少なく、よりリスクを抑えたシミ治療ができるようになりました。
さらに、ピコレーザー治療は私たち日本人にとって効果的なシミ治療法であることが研究で示唆されています(*3, *4)。レーザー治療は是非とも皆様へおすすめさせていただきたい治療ですから、以下で詳しくご説明させていただきます。
手強いシミを消すには
ピコレーザーがおすすめ
ピコレーザーとは
従来のレーザーに比較して短時間(ピコ秒)でエネルギーを照射できる新しい治療機器が、ピコレーザーです。
ピコレーザーは皮膚の中にためこまれた「メラニンを包む塊」をピンポイントで破壊します。
このため皮膚へのダメージを最小限に抑えつつ、シミ治療が行えます。
ターゲットとする部分以外へのダメージが小さいため、薄いシミや肌の弱い方でもレーザー治療を受けることが可能となりました。
ピコレーザーの意外な効果
「レーザーと言ったらシミ治療」とお考えの方も少なくないでしょう。
しかし、実はピコレーザーを用いて治療できる病気は他にもたくさんあります。
ピコレーザーを用いて治療できる例として以下の病気が知られています(*5, *6)。
①表在性色素性病変
いわゆる「しみ・ほくろ・そばかす」のことです。
②深在性色素性病変
いわゆる「アザ」のことです。
③タトゥー
「ピコレーザーでタトゥー治療もできるの?」と意外に思われる方も少なくないでしょう。
タトゥーもレーザー治療できます!!!
従来のレーザーに比べて、当院のピコレーザーは緑色や黄色への反応が改善されています。
このため当院のピコレーザーはタトゥー治療への効果に優れていて、ピコレーザーを用いることで治療回数を減らすことができます。もちろん個人差はありますが、ピコレーザーを用いれば従来の半分の治療回数でタトゥー治療ができると言われています。
④ニキビ跡治療
ニキビ跡の「凹み・色ムラ」にもピコレーザーの出番です。
ごく微細なレーザービームを肌表面に細かく照射します。
そうすることで、熱のエネルギーを肌の奥深くまで届けることができ、
・コラーゲン
・エラスチン
(お肌のハリと弾力の維持にとても大切な成分)
をもう一度構築することに役立つとされています。
その結果として、肌の奥深いところの活性化が促進される効果が期待されています。
➄毛穴の開き、ハリ感、小じわ(肌質改善)
先ほどのニキビ跡の治療と同じように、ごく微細なレーザービームを肌表面に細かく照射します。
この刺激によって、お肌を生まれ変わらせる効果が期待されます。
ピコレーザーによるシミ治療の流れ
①ご来院
ご予約時間の5分~10分程度前にお越しください。
②洗顔
クリニックのスキンケアで洗顔をしていただきます。
タオルやターバンもご用意しておりますのでご持参いただくものはありません。
③写真撮影
レーザー治療前のお写真をお撮りします。
④レーザー照射
ピコスポットは医師による施術となります。
⑤施術後のケア
⑥パウダールームでお支度
クリニックにて日焼け止め等はご用意しております。
必要であればポイントメイクのみお持ちください。
⑦お会計
⑧ご帰宅
治療料金
部位 | 料金(税抜) |
---|---|
〜2mm | ¥5,000 |
3〜5mm | ¥9,000 |
6〜8mm | ¥14,000 |
9〜10mm | ¥20,000 |
以降1〜mmごと | ¥2,000 |
レーザー治療に関してよくある質問
Q.痛みはありますか?
従来のしみ治療のレーザーに比較すると痛みはかなり緩和されました。
照射に際しての軽い痛みはあります。
Q.ダウンタイムはありますか?
しみ治療を受ける前に皆様が一番気になるのが赤みは腫れなどの「ダウンタイム」。
治療後はどのような経過をたどるかというと、
直後:照射した部位から周辺数mmが赤く虫刺されのように腫れます。
1時間後:腫れが8割方おさまります。
翌日:うっすらとかさぶたができます。しみが少し濃くなったように感じる時期。
1週間~10日:かさぶたが少しずつはがれてシミがうすくなっていきます。
かさぶたができている間もお化粧して大丈夫ですが、こすらないようにこすらないように…。
1~2週間でおおよそかさぶたがはがれ、きれいな肌が出てきてくれていますね♡
(※結果は肌質・ホームケアにもよって個人差があります。)
ただし、ピコレーザーを受けるときは気を付けなければいけないポイントがたくさんあります。
続きをご一読ください。
Q.治療後に気を付けることは?
これはレーザーをあてる、あてないに関わらず。肌をいたわる=「さわらない」「遮光」です。
こすったり、過剰なメイクはシミや肝斑の原因にもなりますし、レーザー照射後は色素沈着を起こりやすくしちゃいます。また、紫外線対策は言わずもがな、ですね。
Q.ピコレーザーのリスクって何ですか?
どのような治療でもリスクはつきもの。
ピコレーザーは従来のものに比較して肌にはやさしくなりましたが、リスクについてよーく納得してから治療を受けることが大切です。
・治療後の赤み、色素沈着
治療後2週間程度で肌ができあがっても赤みや炎症が残ります。少しでも早く治すためには治療部位をこすらない、さわらない!日焼け止めをしっかり塗ることが大切ですが、塗り方によってはそれが刺激になることも…。
とにかく赤ちゃんをさわるように自分の肌をいたわってくださいね。
・治療中の痛み、赤み
ある程度は「我慢」になってしまいますが、当院では全顔治療(ピコプレミア)の際は麻酔クリームを塗布します。
治療後は赤みが長引くような激しい運動、飲酒などはしないようお願いします。
・出血、溢血
治療直後にうっすらと細かい溢血斑が出ることがありますが、これは真皮という深い部分の出血なので自然に改善していきます。
・脱色素班(色抜け)
レーザー後の炎症が起こっている状況で強いエネルギーを加えることで起こりやすくなります。
時間とともに改善することもありますが、レーザー照射のタイミングが大切です。
Q.ピコレーザーを受けられない場合って?
下記にあてはまる方は残念ながらピコレーザーを受けることができません。
・妊娠中
・日光過敏症
・トレチノイン塗布中
・皮膚の悪性腫瘍、炎症性疾患
しみ治療はいろいろな方法があります。
お肌にあった治療をご案内させていただきますのでぜひお気軽にご相談ください。
[参考文献]
*1 Heidi Li, et.al. Sunscreen Application, Safety, and Sun Protection: The Evidence. J Am Acad Dermatol . 2017 Mar;76(3S1):S100-S109. doi: 10.1016/j.jaad.2016.09.038. Epub 2016 Dec 27.
*2 Bibi Petersen, et.al. Application of sunscreen–theory and reality., hotodermatol Photoimmunol Photomed . Apr-Jun 2014;30(2-3):96-101. doi: 10.1111/phpp.12099. Epub 2014 Jan 6.
*3 Negishi K, Akita H, Matsunaga Y. Prospective study of removing solar lentigines in Asians using a novel dual-wavelength and dual-pulse width picosecond laser. Lasers Surg Med. 2018 Oct;50(8):851-858. doi: 10.1002/lsm.22820. Epub 2018 Apr 2. PMID: 29608215.
*4 Ge Y, Guo L, Wu Q, Zhang M, Zeng R, Lin T. A Prospective Split-Face Study of the Picosecond Alexandrite Laser With Specialized Lens Array for Facial Photoaging in Chinese. J Drugs Dermatol. 2016 Nov 1;15(11):1390-1396. PMID: 28095552.
*5 Dierickx C. Using normal and high pulse coverage with picosecond laser treatment of wrinkles and acne scarring: Long term clinical observations. Lasers Surg Med. 2018;50(1):51-55. doi:10.1002/lsm.22763
*6 Saluja R. Evaluation of the Safety and Efficacy of a Low Fluence, Picopulsed, Alexandrite Laser in a Pico-Toning Technique With a Diffractive Lens Optic for the Treatment of Photodamage and Textural Improvement in “Off the Face” Applications. J Drugs Dermatol. 2016 Nov 1;15(11):1398-1401. PMID: 28095553.
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