今回はシミ取りレーザーのダウンタイムとその経過について解説していきます。
こんにちは、オジスキンクリニックの院長吉原です。
当院で扱っているシミ取りレーザーはシミ取りレーザー界の王様的存在サイノシュア社の「ピコシュア」という機械です。
ピコレーザーと従来のレーザーの違いについては過去のコラムを参考にしてくださいね。
シミ取りのレーザーの違いって?
ピコレーザーと
従来のQスイッチレーザーを徹底比較
執筆者:吉原 糸美
オジスキンクリニック浦和院 院長
目次
- ダウンタイムとは
- ―シミ取りレーザーの経過
- ―シミ取りレーザーのあとに
カサブタができる? - ダウンタイム中に
絶対気を付けたいこと - レーザー治療後、
仕事は休んだほうがいいの? - 妊娠・授乳中でも
シミ取りレーザー治療は可能? - まとめ
ダウンタイムとは
お肌をきれいにする美容皮膚科治療や二重手術などの美容外科手術は大きく2つに分かれます。
ひとつはダウンタイムのある治療。もうひとつはダウンタイムのない治療。
ダウンタイムとは、治療に伴って必ず起こる「腫れ」や「赤み」、「かさぶた」などの治療効果が出るまでに起こるいわゆる副作用の部分です。
ダウンタイムのある治療の場合、1回ごとの効果は高いけれど、効果を実感するのはダウンタイムが終わってからとなります。
皆さんが治療を受ける際に特に気になるのが、このダウンタイムですよね。
実際のところ、仕事は休む必要があるのか、外見が変わるのか、メイクで隠せるのか…
今回はこのあたりに焦点をあててコラムを記載していきます。
シミ取りレーザーの
ダウンタイムとは
シミ取りレーザーの経過
照射 1週間前 |
いつも通り過ごしていただきます。ただし、海水浴などで肌が赤くなるくらい日焼けをしてしまうと照射できないことがありますので注意してください。 |
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照射当日 | クリニックへご来院いただきます。照射希望の部位に炎症がないか、シミの種類としてレーザーが適応かを医師が判断します。照射可能であれば当日レーザーで治療します。 |
照射直前 | 必ずメイクや日焼け止めを除去します。お肌に塗布しているものに反応し、色素が除去しにくくなる可能性があります。 |
照射直後 | 照射後は一時的に赤みや腫れ、熱感などが現れます。これらは当日引くことがほとんどです。いわゆる通常のシミ=老人性色素斑(日光黒子)の場合は照射後、数時間すると少し濃くなって薄いカサブタになります。 |
照射後 1~2週間 |
薄いカサブタがついたまま過ごしていただきます。10~14日ほどするとぽろぽろカサブタがはがれてきて新しいお肌になります。 |
治療後の 評価 |
シミ取りレーザーを扱うクリニックでは基本的にシミが除去できたかどうか、追加で外用や照射が必要かどうか、適切な肌状態になっているかをチェックします。照射2~4週間後に再診していただきます。 |
写真は実際に治療を受けた方の経過です。
上から順に照射前→1週間後→2週間後です。
ピコレーザーであれば、こんな風に全顔で治療することが可能です。
もちろん1箇所だけ治療するのも大丈夫。
とてもわかりやすい経過ですので参考にしてくださいね。
シミ取りレーザーを受けたあとに
かさぶたができる?
レーザー照射後の薄いカサブタ形成は通常の反応ですので心配は無用です。
レーザー治療により皮膚の過剰な色素が壊れ、同時に新しい皮膚細胞が再生し、レーザーに反応した部分を置き換えていきます。
カサブタは皮膚が再生し終わると自然に剥がれ落ちていきます。
このカサブタ期間に大切になってくるのはアフターケア。
炎症をおさえこむためにステロイド含有軟膏を塗布します。また、必要に応じてテープを貼付しますが、ピコレーザーはテープ貼付なしで過ごしていただいても大丈夫です。
詳しくは過去のコラム
シミ取りのレーザーの違いって?
ピコレーザーと
従来のQスイッチレーザーを徹底比較
にも記載してあるので参考にしてください。
ダウンタイム中に
絶対気を付けたいこと
薄いカサブタが表面についていますが、日常生活は通常通りで大丈夫です。
当院のピコレーザーの場合は、メイクもカサブタのうえから大丈夫ですし、洗顔や入浴も問題ありません。メイクはできればSPF30以上の日焼け止めを兼ねるものにしましょう。
男性の方でメイクをしないとしても、日中は日焼け止めを塗ると余計な炎症が抑えられます。
意外と日常生活には制限がないんです。
ただし、1点気を付けたいことがあります。
「こすらないこと」
カサブタはとても脆く、こすったり引っ搔いたりすることではがれてしまいます。
肌の再生が終われば自然と剥がれるので、自分では触らないようにすることが大切です。
洗顔やメイクの際、こすらないようにやさしく肌を扱ってくださいね。
レーザー治療後、
仕事は休んだほうがいいの?
レーザー治療を受けたあとは仕事は休んだほうがいいですか?と聞かれることがあります。
薄いかさぶたは出来ますが、仕事への影響はほとんどありませんので、基本的に休む必要はありません。
かさぶたの上からメイクをすることも可能です。
ただし、下に記載する職業の方は注意が必要です。
①屋外の作業が
多く紫外線をたっぷり浴びる職業の方
→施術のあとは季節を問わず紫外線対策をしっかりしていただく必要があるため日焼け止めを塗布する前提で施術を受けてください。
日焼け止めの正しい塗布方法についてのコラムはこちら→正しい日焼け止めで老化の8割が防げます
②人前で講演などの機会が
ありマスクなどで顔を隠すことができない職業の方
→かさぶたは意外とメイクで隠すのが大変です。全顔治療を行う場合や男性でメイクをする習慣がない場合は、レーザー治療を受けるタイミングをよく選んでください。ポイント治療であれば上からコンシーラーで隠すことはできますよ。
ピコレーザーだからこそできる全顔治療の場合は、そばかす治療やシミの数が多い方には非常に人気が高いです。いっきにきれいにしたい場合は非常におすすめしたい治療のひとつですが、ダウンタイムを考えると10日~14日程度は大切な予定は入れないほうが無難です。
妊娠・授乳中でも
レーザー治療は可能?
妊娠中はレーザー治療をはじめ、あらゆる美容皮膚科・外科治療はできません。
妊娠中は色素をためこみやすく、シミが増えますが、まずは赤ちゃんの安全を最優先してあげてください。
妊娠中は我慢が続きますが、産後はできる治療が一気に増えます。
シミ取りレーザーもそのひとつ。授乳中であっても問題なく治療が可能です。
レーザー治療後は必ず軟膏を塗布していただきます。軟膏塗布により、レーザーの炎症をおさえることができます。
産後に増えたシミを一気に治療したい方はぜひご相談くださいね。
ただし、点滴や内服、外用に関しては母乳中へ移行するものがあるため授乳中の場合は必ずクリニックへお伝えください。
まとめ
シミ取りレーザー治療についてまとめました。
シミは気になるけれどなかなか一歩踏み出せないという方はこの記事を読んで少し勇気が出たのではないでしょうか。
シミにも種類があります。
レーザーでよく取れるもの、塗り薬が効くもの、期間をかけて取るもの…
まずは診断も含め一度ご相談ください。
参考文献
・Randomized, evaluator-blinded comparative study of a potassium titanyl phosphate (KTP) 532-nm picosecond laser and an alexandrite 755-nm picosecond laser for the treatment of solar lentigines in Asians J Cosmet Dermatol. 2022 Oct;21(10):4370-4377. doi: 10.1111/jocd.14831. Epub 2022 Feb 14.PMID: 35129875 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35129875/
・A retrospective analysis on the management of pigmented lesions using a picosecond 755-nm alexandrite laser in AsiansLasers/ Surg Med
. 2016 Jan;48(1):23-9. doi: 10.1002/lsm.22443. Epub 2015 Dec 22.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26696500/
・Treatment of Laser-Responsive Dermal Pigmentary Conditions in Type III-IV Asian Skin With a 755-nm Picosecond Pulse Duration Laser: A Retrospective Review of Its Efficacy and Safety Dermatol Surg
. 2020 Nov;46(11):e82-e87. doi: 10.1097/DSS.0000000000002332. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32068548/