こんにちは、オジスキンクリニックの吉原です
今日は脂肪溶解注射について。
世界的にはカイベラという脂肪溶解注射がメジャーですが、残念ながら日本での取り扱いはありません。
ですが、カイベラと同じデオキシコール酸濃度の製剤として「FatX core」 が存在します。
脂肪溶解注射はデオキシコール酸という成分の濃度に依存するところが大きく、日本ではFatX、FatXcoreがカイベラと同等の効果を得ることができる唯一の製剤です。
今回はカイベラについての論文がいくつかあったので、その効果と「たるみ」についてお話。
痩せるとたるむ、は正解
脂肪溶解注射を検討される方から「脂肪がなくなったらたるみますか?」というご質問をいただきます。
実際どうなのでしょうか?
体重が急激に10kg減ったりしますと、脂肪細胞が小さくなるため皮膚があまります。
これは「たるみ」ですね。
当然といえば当然です。
ここで気になるのは脂肪溶解注射はどうなのか、というところ。
脂肪溶解注射も脂肪細胞が減るため、同じようなことが起こるのでしょうか。
脂肪溶解注射で脂肪はなくなるけれど♡
Deoxycholic Acid: A Review in Submental Fat Contouring American Journal of Clinical Dermatology volume 17, pages701–707(2016)
こちらの論文をみてみます。
デオキシコール酸を含む脂肪溶解注射(カイベラ)を顎下に注入したところ、2回以上の治療で12週間後に測定したところ、たるみなく顎下膨満感が解消され、2年のフォローでも体重増減がなければ維持されていたとのことです。
つまり、脂肪溶解注射ではたるみは出ないことになります。
別の論文では、むしろ過剰な皮膚のたるみが客観的スコアで10%以上で改善されたという結果も出ていました。
脂肪溶解注射はたるまない?
なぜ、体重減少では出てしまう皮膚の余りが起こらないのでしょうか。
デオキシコール酸は注入後から赤み・腫れが出ます。これは脂肪細胞が破壊されているときに炎症が起こっている証拠でもあります。炎症が起こるとコラーゲンが産生されるため、本来脂肪が減るとでるはずのたるみが出ずにすっきりすると考えられます。
専門的な話をすると、カイベラは注入後に脂肪細胞を破壊していきます。その後、マクロファージという貪食細胞を遊走させる力があることがわかっています。これは2種類の効果があり、ひとつは破壊された脂肪細胞の断片の処理と遊離脂肪の除去。もうひとつは線維芽細胞を増殖させ、コラーゲンをつくることです。
(デオキシコール酸は濃度が高くなるほど不可逆的に脂肪細胞を除去することがわかっています。)
つまり、急激なダイエットでは出てしまう皮膚のあまりが脂肪溶解注射では起こらずにすっきりとさせることができるのです。
脂肪溶解注射による効果はいつから出るのか。
カイベラ(日本ではFatX coreですが)は腫れが伴います。
これは少なくとも1週間は続きます。
その後コラーゲンが産生されるまでに実は時間がかかります。
文献によるとおよそ3~6か月かけて皮膚が引き締まっていくことがわかっています。
カイベラによる治療を受けた被験者の80%以上が「満足」という結果を得ているのですから効果のある治療といえます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5172481/
Noninvasive Submental Fat Compartment Treatment Plast Reconstr Surg Glob Open. 2016 Dec; 4(12 Suppl): e1155. Published online 2016 Dec 14
脂肪溶解注射を受けるときの注意点はある?
では、いざ脂肪溶解注射を施術するときに絶対注意したほうがいいことはなんでしょうか。これについては詳しくまた別の記事にまとめたいと思います。
まとめ
脂肪を減らす方法はたくさんありますが、部分的脂肪減少を図るのであれば脂肪溶解注射は非常によい治療だと思います。
FatX coreは通院回数は少なく効果優先の方へ
カベリンは通院回数は多くてもばれたくない方へ
脂肪溶解注射も奥が深いです。
脂肪吸引に比較してダウンタイムやリスクが少なく、日帰りで受けることができるのがとてもよいメリットですね。
気になる方、お気軽にご相談ください。