タトゥー除去とは?

中島先生

執筆者:形成外科専門医
中島由佳理
慶應義塾大学病院 形成外科

目次

タトゥーを美容治療で消す

若い頃に入れたタトゥー(刺青)がライフスタイルの変化によって不都合に感じたり、すべて消したいと考える方もいらっしゃると思います。そして最近ではアートメイクとして気軽にタトゥーできるものもありますが、そのデザインや色などが理由で早く消したいと思うこともあるかもしれません。

そこで今回は当院のタトゥー除去の方法についていくつかご紹介させて頂きます。
タトゥー除去は大きく分けて「レーザー治療」と「手術」に分けられます。

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タトゥー除去のレーザー治療って?

当院では厚生労働省認可品のピコレーザーである「Picosure(ピコシュア)」を使用しております。従来のレーザーと比較し、色素の破壊力が強く、治療回数も少なくなるメリットのある機械です。実際のところ、タトゥーの濃さによりますが真皮層まで入った色素を1回ではなかなか取りきることはできませんので、治療は複数回にわたります。回数を重ねるごとに色味が薄くなっていくイメージです。また、レーザー治療によりタトゥーの色素が抜けても色抜け(脱失)したタトゥーの形が薄っすらと肌色でみえることもあります。しかし、手術と大きく違うのは、皮膚を切って縫った線状の瘢痕(きずあと)ができないことです。

レーザー治療の際、真皮層に入った色素を取るには痛みを伴うので、基本的には麻酔クリームを塗布、もしくは局所麻酔薬を注射してからレーザーを照射します。色素が濃いほど熱破壊量も増えますので色によっても痛みの感じ方が多少異なります。痛みがご心配なかたには笑気麻酔の併用も可能です。また部位によって皮膚の厚さも異なるので(例えば背中は厚い、耳裏は薄いなど)それに応じてレーザーの必要回数も変化してきます。

アートメイクも取れるの?

アートメイクで瞼に色素が入っている方は治療用のコンタクトレンズを使用してレーザー治療が可能です。アイラインや眉毛などがよくある部位です。濃さによっては複数回の施術が必要になりますが、特殊な色味でない限りはレーザー地用で薄くすることが可能です。

タトゥー除去の手術って?

手術ですが、単純に切除縫合する場合(分割切除も含む)、植皮する場合、削皮して二次治癒させる場合などがあります。まずは消したいタトゥーが手術で切除可能な部位なのかを診察させて頂きます。前胸部や肩周りなどケロイドリスクのある部位に関しては特に注意が必要です。タトゥーが消えてもきずあとがケロイドになってしまった場合には継続的な治療が必要になります。

何回かに分けて切除できそうなデザインの場合は、分割切除を選択いたします。切除間隔は半年あけて頂いております。(きずあと成熟のため)
デザインがもともと大きくて分割(複数回に分けた切除術)で取れないタトゥーに関しては、切除したあとにからだの他の部位から皮膚を採取して植える植皮術や削皮して二次治癒をはかる治療法があります。植皮術は削皮よりも生着が良好であれば馴染んできれいになりますが、日焼けしやすい(色素沈着を起こしやすい)といった面もあるため、術後も徹底したUVケアは必須になります。

削皮とは、大きな擦り傷のようなイメージです。ご自身の治癒力で治るまで、処置は難しくはありませんが、途中で感染したりすると炎症反応が強くなって目立つきずあとになる可能性があります。しかし、きずあとになったとしてもその見え方は元々タトゥーがあった場所としてではなく、怪我のきずあととして見えるものになります。

また同じ場所にタトゥーは入れられる?

せっかく除去したのに?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「このデザインが気に入らなかったから」と一度除去した同じ場所に違うデザインでタトゥーされたい場合もあるかと思います。同じ場所にタトゥーができない訳ではありませんが、その場合、除去の方法によっては瘢痕(きずあと)部分に従来通り色素を注入することは難しくなります。真皮深層までダメージがある除去方法では瘢痕は線維状のコラーゲン組織に置き換わります。そのため、同じ方法で注入すると色が入りにくかったり抜けやすかったりすることがあります。今あるタトゥーを除去して次のタトゥーを考えられている方はその時点でご相談頂ければと思います。

まとめ

以上ようにタトゥー除去にはレーザー治療と手術治療があり、それぞれにメリット・デメリットはありますが、一度創傷治癒のスペシャリストでもある形成外科医にご相談ください。

タトゥーの状態やライフスタイルをふまえた上で適切な治療法をご提案させていただきます。私は如何にきずあとをきれいに、再生させるように治すのかをテーマに日々基礎研究についても全力で取り組んでおり、最新の情報を提供することが可能です。
ご自身の消したいタトゥーにはどの治療が一番適するのか、ぜひ一度カウンセリングにいらしてください。

タトゥー除去の施術の詳細はこちら

<参考文献>

・Wu DC, Goldman MP, Wat H, Chan HHL. A Systematic Review of Picosecond Laser in Dermatology: Evidence and Recommendations. Lasers Surg Med. 2021 Jan;53(1):9-49. doi: 10.1002/lsm.23244. Epub 2020 Apr 13. PMID: 32282094.
・Hernandez L, Mohsin N, Frech FS, Dreyfuss I, Vander Does A, Nouri K. Laser tattoo removal: laser principles and an updated guide for clinicians. Lasers Med Sci. 2022 Aug;37(6):2581-2587. doi: 10.1007/s10103-022-03576-2. Epub 2022 May 23. PMID: 35604505.

・Henley JK, Zurfley F, Ramsey ML. Laser Tattoo Removal. 2023 Jul 17. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2024 Jan–. PMID: 28723036.

・Dash G, Patil A, Kassir M, Goldman MP, Gold MH, Adatto M, Große-Büning S, Grabbe S, Goldust M. Non-laser treatment for tattoo removal. J Cosmet Dermatol. 2023 Jan;22(1):74-78. doi: 10.1111/jocd.14819. Epub 2022 Feb 9. PMID: 35122391.

・Henley JK, Zurfley F, Ramsey ML. Laser Tattoo Removal. 2023 Jul 17. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2024 Jan–. PMID: 28723036.

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